世田谷日記〜パーマ屋さん物語〜 第6話
第6話「ライバルの出現」
秋も深まり、サロンの忙しさは増すばかり。私は毎日お客様に全力で向き合い、「うちの店」のために一心不乱に働いていました。そんな中、梅ヶ丘に新しい美容室がオープンするという噂が広まり始めます。しかも、オーナーは私の美容師仲間で、一緒に修行を積んだ元同僚のアキラだったのです。
アキラは私にとって良きライバルであり、尊敬する同業者でもありました。しかし、ライバル店が梅ヶ丘に出店となると、「うちの店」への影響は避けられません。スタッフや家族も少し不安げな表情を浮かべていましたが、私は「気にするな。お客様に喜んでもらうことが一番だ」と自分にも言い聞かせました。
切磋琢磨の精神
開店当日、アキラからサロンのオープンを知らせるハガキが届きました。そこには、「久しぶりだな。新しい挑戦をしたくて梅ヶ丘に店を出すことにした。負けないぞ!」と力強いメッセージが添えられていました。
その日は休日だった私ですが、どうしても気になり、アキラの新店舗に足を運ぶことにしました。新店舗は最新の設備が揃い、カフェのような雰囲気で、若い世代をターゲットにしている印象を受けます。アキラのセンスの良さに驚きつつ、「こっちも負けていられないな」と気持ちを新たにしました。
スタッフの反応
サロンに戻り、スタッフたちと会話を交わすと、若手スタッフの中には「やっぱり競合が増えるとお客様が減るんじゃないか」と不安を口にする者もいました。そこで私は彼らにこう伝えました。
「他の店に負けたくないって気持ちは大事だけど、私たちが提供しているのはお客様との信頼。それはどこにも真似できないものだから、自信を持って続けていこう」
この言葉にスタッフたちも少しずつ落ち着きを取り戻し、それぞれが仕事に対する情熱を再確認するようになりました。
一歩一歩の積み重ね
その日から私は、今まで以上にお客様一人ひとりに丁寧に向き合うよう心がけました。特に、長年通ってくれている常連客への感謝を伝えるために、ちょっとした心遣いや手書きのメッセージを施すなど、「うちの店」にしかないサービスをさらに磨き上げていきます。
数週間後、アキラのサロンも順調に営業を続けているようでしたが、私のサロンにもお客様は絶えず訪れ、むしろリピーターが増えていることを実感していました。
変わらぬ信念
アキラとは、その後も切磋琢磨し合いながら、梅ヶ丘の美容業界を盛り上げていく良きライバル関係が続いていきました。私は自分の信念を再確認しながら、さらにサロンワークに熱を入れて取り組みます。スタッフもその背中を見て、仕事への意識が一層高まっていくのでした。