世田谷日記〜パーマ屋さん物語〜　第3話

世田谷日記〜パーマ屋さん物語〜　第３話

「突如訪れたトラブルと、家族の支え」

ある月曜日の朝、いつも通り早めに梅ヶ丘の美容室へ向かった。月曜日は予約が多く、週のスタートとして大事な日だ。サロンのドアを開け、店内に一歩踏み入れた瞬間、僕の胸に一抹の不安がよぎった。

「ん？ 何だ、この匂いは……」

何かが焦げたような匂いが漂っている。急いで奥の部屋に向かうと、機材が故障しているのが目に入った。ドライヤーやアイロンが動かない。美容室にとって、これは大きな問題だ。お客様に最高の髪質改善やボブカットを提供するためには、機材が必須だ。

「こんな時に限って……」

午前中には、すでに何件かの予約が入っている。しかも、今日のお客様は常連の40代の方で、髪のうねりを抑えた髪質改善トリートメントと、新しいボブカットを希望している。早急に対処しなければならない。僕はすぐに修理会社に連絡を入れたが、対応できるのは夕方以降だという。

「どうするか……」

焦りながら、僕はふと妻の顔を思い出した。彼女も元美容師で、今は美容サロンを運営している。もしかしたら、彼女のサロンに使える機材があるかもしれない。

急いで妻に電話をかけると、彼女はすぐに助けに来てくれると言った。僕たちは互いにサポートし合い、協力しながら家族としても、美容の世界でも成長してきた。今日もその絆が、僕たちを救うことになる。

妻は息子たちを保育園に送り届けた後、手伝える機材を持ってサロンに駆けつけてくれた。

サロンに到着した彼女は、手早くドライヤーとアイロンをセッティングしながら、「手が必要なら私も手伝うよ」と笑顔で言った。その言葉に、僕は心から感謝の気持ちを抱いた。

「ありがとう。すごく助かるよ。やっぱり頼りになるな。」

彼女は「お互い様だよ」と微笑んだ。彼女は美容師としての技術だけでなく、家族としても僕を支えてくれる存在だ。

午前中のお客様は、少し遅れて来店されたが、トラブルのことを理解してくれた。妻の手際の良さと機材のおかげで、無事に施術を進めることができた。お客様に満足してもらい、髪質改善トリートメントで髪がしっとりとまとまり、ボブカットで彼女に合ったスタイルが完成した。

午後には修理業者が到着し、壊れた機材も無事に修理された。サロンにいつもの静けさが戻ると、僕は深く息をついた。今日はトラブルが続いた一日だったが、妻の支えとお客様の理解のおかげで、無事に乗り越えることができた。

家に帰ると、リビングにはいつもの穏やかな雰囲気が流れていた。妻は息子たちを寝かしつけていて、僕はリビングに座りながら、今日のことを振り返っていた。美容師としてのキャリアを追いかける中で、時にトラブルや困難に直面するが、それでもこの仕事に情熱を注ぐ理由は、毎日お客様と向き合える喜びがあるからだ。

妻がリビングに戻ってきて、「今日は大変だったね」と言ってくれた。

「いや、今日は本当に助かったよ。ありがとう」と、僕は感謝の言葉を伝え
彼女は笑いながら「お互い様だよね」と言っていた。

こうして、また一日が終わり、僕のサロンも無事に営業を続けていく。梅ヶ丘の美容室として、これからもお客様に寄り添いながら、この街で成長し続ける。そして家族と共に、これからも共に歩んでいくんだ。

次回に続く…

世田谷日記〜パーマ屋さん物語〜　第4話へ続く

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